バイアグラ 概 略 

インポテンスの治療薬としてファイザー製薬より発売されたバイアグラ(クエン酸シルデナフィル)についての情報です。バイアグラは25mg錠と50mg錠の二種類が発売されましたが保険適応にはなりませんでした。そのためバイアグラを希望して来院した場合は、検査を含めて自費で取り扱うことになりました。

1. バイアグラの働き

  勃起は性的刺激によって陰茎の海綿体の平滑筋の筋弛緩がおこり、その結果陰茎海綿体の血流増加により起きることがわかっています。この平滑筋の筋弛緩をおこす物質(cyclic GMP)を分解する酵素があり、これによって勃起が解消するわけです。この海綿体にある酵素の働きを特異的に阻害する物質がバイアグラというわけです。ですから結果として勃起がおこりやすくなりかつ硬度増加と持続時間の延長が認められるということでインポテンスの治療に使用されるようになったわけです。

  副作用としては、このcyclic GMPの蓄積による生体への危険性が警告されています。特に狭心症などでニトログリセリン製剤を服用している患者では死亡例が報告されています。そのほかシメチジン、エリスロマイシンとの併用に注意が必要とされています。また網膜の分解酵素も同時に阻害される可能性があり投与により青い閃光が見られることがあるという報告があります。また長期投与による視力障害の出現が危惧されています。さらにαblockerおよび血小板凝集抑制剤との併用も注意が必要と考えられています。

この薬の効果は容量依存性といわれており、多く飲む程効果が持続するようです。ですから飲み方には注意が必要です。

 注意としてこの薬を飲んでも性欲の変化あるいは快感には直接影響せずただ勃起の持続時間の延長と硬度の増大がおきるだけで性的欲求には無効であるということをよく理解しておく必要があります。

副作用:(50mg:100mg)頭痛(21%:30%)、顔面紅潮(27%:20%)、消化不良(11%:16%)、鼻炎(3%:11%)、視力障害(6%:9%)と報告されています。


2. 評価

 明らかな薬効のある薬の場合、他の薬との相加、相乗効果に注意が必要です。この薬の場合はやはりインポテンスの治療薬として主治医の指示のもとで使用量、投与法などを検討して使うべきであろうと考えています。異常のないひとが勃起の持続、陰茎の硬化増強の目的で使用すべきではないと思います。

 ただすでに外国で発売されている薬であり、薬効もはっきりしているので、専門家での検討を早急に行い、日本での適正な使用量、投与法を決定して発売すべきでしょう。


詳しい薬効

  性的刺激があると神経終末や内皮細胞よりNOを合成しこれがcyclic GMPを増加させ、陰茎海綿体の平滑筋細胞のCaを低下させ筋弛緩をおこし、結果として血流増加により勃起がおきる。合成されたcyclic GMPはこれに特異的なPhosphodiesteraseにより分解され勃起が解消する。Phosphodiesteraseは6種類あるが、海綿体のPhosphodiesteraseは5型が主で、あと2型、3型があると考えられている。バイアグラはこの5型のPhosphodiesteraseの特異的阻害剤である。ちなみに血管内皮細胞はPDE2・4、血管平滑筋細胞はPDE1・3、血小板はPDE2・3・5、陰茎海綿体平滑筋細胞はPDE5、網膜にPDE6がある。

勃起に関係する血管支配

 陰茎には、陰茎海綿体と尿道海綿体およびそれに続く亀頭がありますが、勃起に関係するのは陰茎海綿体で左右に2本あります。陰茎には陰茎動脈から陰茎背動脈(DA)に分かれさらに陰茎深動脈、らせん動脈(HA), 海綿体洞(CS)から後海綿体静脈(PV)、貫通静脈(EV)に行く流れと陰茎深動脈から毛細血管(CA)、後海綿体静脈(PV)、貫通静脈(EV)に行く流れのふたつの流れがあります。非勃起時には、DA→CA→PV→EVが優位ですが、勃起時には海綿体洞の平滑筋の弛緩により海綿体洞の血流が増加しその圧力で後海綿体静脈(PV)の流れが阻害されDA→HA→CS→PV→EVが優位となり勃起が持続すると考えられています。

勃起に関係する神経支配

 勃起に関係する神経としては交感神経、副交感神経、NANC神経が関与しており、非勃起時には交感神経が優位であり、海綿体平滑筋は収縮しています。勃起状態では副交感神経、NANC神経が優位であり、海綿体平滑筋は弛緩しています。

バイアグラの薬効

1.吸収:胃で吸収され、空腹時では15分食後では30-60分で吸収されます。血中の半減期は4時間で、代謝は肝臓で CYP3A4の酵素が関与しています。そのため安全な追加投与は半減期x6=24時間後と考えられています。排泄は尿中なので腎機能低下患者では初回投与は25mg錠の服用が望まれています。

2.副作用:主な副作用は血管拡張作用による頭痛16%、ほてり12%、消化器症状8%、鼻閉感4%、視覚異常3%が報告されています。

3.禁忌薬:硝酸剤(ニトログリセリン、ミリスロールなど)、一酸化窒素(NO)供与剤

4.併用注意剤:チトクロームP4503A4阻害剤(シメチジン、エリスロマイシン、リファンピシンなど)

 

実際の診療

1.問診で聞かれる既往症:高血圧症、糖尿病、高脂血症、脳梗塞、心筋梗塞、網膜色素変性症

2.最低必要な検査:心電図,血圧測定,検尿(尿糖),血液生化学(血糖値),男性ホルモン値


Q&A

1. 1回の処方量は

 特に決まりはありません。初めて処方する時は2錠にとどめ、効果を見るのが良いでしょう。その後は1ヶ月に4-8錠を目安に処方します。25mgは高齢者、腎機能低下、肝障害のある患者の時に処方に使用します。

2. 夫婦同伴で来院させるべきか

  奥さんの承諾書は必ずしも必要ないといわれていますが,夫婦できてもらうのが望ましいと思います。

3. 自費診療に関しては

 バイアグラは保険適用外なので、処方、検査などの診療行為、調剤行為はすべて保険適応外なので、カルテ(診療録)は別に作成することが必要です。初回にかかる費用はおおよそ1万5千円程度と思われます。

4. アルコールの影響は

 深酒するとそれにより勃起障害が起きるので勧められない

5 女性が服用した場合

 定義が不明だがこれまでのところ効果は認められていない